こんにちは。ぱにです。
医学系の研究室で博士号取得を目指しています。
この記事では、博士課程の学生の最新の金銭事情について書いていきます。
「D進したいけど金銭面が不安…」
「最近博士への支援が増えてるって本当?」
上のようなお金に対する疑問や悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
不安になるのは、その課題の実態を把握していないからに他なりません。
この記事を是非最後まで読んで、博士課程の最新の金銭事情をアップデートしましょう。
博士課程ではお金がかかる
大学院で研究をしている、夜まで研究室にいるのも普通だよ、なんて話をすると、よく聞かれることがあります。
それって給料もらえるの?
答えはNoです。
というかむしろ、年間で相当の学費を払っています…
僕の周りでも、金銭的な理由で博士進学を諦めた方を見てきました。
つまり博士学生は、お金を吸われながら身を粉にして働くようなものなので、下手なブラック企業よりもブラックかもしれません。
とはいえ、多くの人が受けられる支援がまったくないと断言すると、それは嘘にはなってしまいます。
たとえば、TA(ティーチングアシスタント、教員の教育補助業務を行う)としての報酬は。
しかしながら、生計が立つほどのものではなく、もらえる金額は非常に微々たるものです。
つまり博士号を取るためには、まともな収入がない環境で学費と生活費を捻出する必要があり、これが非常に大きなハードルになっています。
博士課程支援策が拡充し始めている
学振は非常に狭き門である
そこで、博士課程の学生をバックアップする制度が存在しています。
この代表格が日本学術振興会特別研究員制度(通称:学振)です。
40年近くの歴史がある学振は、日本のフェローシップ制度においてトップの位置付けにあり、非常に内容が充実しています。
しかし残念なことに、学振の採用枠は狭く、採択率は5人に1人となっています。
参考:日本学術振興会HP 採用状況
さらに採用者の名簿を眺めてみると、さすが旧帝大所属の方の割合が高いことがわかります。
そうすると、僕のように地方国公立大学にいる場合、ますますシビアな競争になってしまいます。
(もちろん申請者の母数もレベルも違うと思います。)
学振はまさに通れば天国落ちたら地獄、なんて形容までされていました。
少し前まではこの制度しかないような状況だったので、学振が取れないと断腸の思いで奨学金(基本的には返却が義務付けられている借金)を借り、ようやく博士課程を修了した頃には多大な借金が手元に残っている、ということがざらに起こっていたのです。
正直に言って、博士課程がお金を得る手段が学振のみだったら、僕自身学振に落ちるリスクを考慮し、進学していなかったと思います。
就職に強力なアドバンテージができるといったリターンもあるわけではないですし、だったら新卒カードが使える修士で就職してしまおうという発想になってしまうんですね。
博士学生が自分で生活費を確保するのは難しくない
幸運なことに、学振が一強のフェローシップ制度である、そんな時代は終焉を迎えました。
博士課程の進学を簡単に諦めるには惜しいくらいに、この数年の中で支援制度がどんどん出てきています。
支援制度が拡充していてたくさんの選択肢があることを、まずは知ることです。
どんな支援制度があるのか、大学や機関ごとに独自のプログラムが用意されている場合も往々にしてありますので、是非自分で一度調べてみてください。
代表的な制度の詳細は、こちらの記事にまとめていますので、併せて読んでいただきたいと思います。
僕は次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)にお世話になっています。
原則として、これらの支援制度の重複は認められていません。
つまり2022年現在、フェローシップ制度の充実によって、年間約6,000人もの博士学生に生活費相当の金額が支給されていることになります。
2019年度の大学院博士課程入学者の数が約15,000人、うち社会人入学者を除くと約9,000人ですから、制度の拡充によって博士課程の3分の2が生活が保障されるということです。
どうでしょうか?この数字を聞いて、思ったよりも悪くないと感じたのではないでしょうか。
さらに、国全体の動きとして、この数字をさらに増やそうという取り組みをより加速させようとしているのです。
自分が学生の時代にこれだけ支援があったらと、前の研究室の助教の先生もおっしゃっていました。
研究者に興味のある方は、この流れに乗らない手はないんじゃないかとまで思いますよ。
まとめると、博士課程の学生に対する支援は少し努力すればすぐに手が届く、そんな新時代がすでに到来しているということになります。
まとめ:広がった採用チャンスを必ず掴み取るべし
この記事では、お金に困らない博士課程を送るために知らなくてはいけない事実について解説しました。
現在、最低限の生活を保障されるほどのお金を、3人に2人の博士学生はは獲得することができる、ありがたい時代を生きています。
ここまで低倍率な競争は、アカデミアの世界かどうかを問わず、なかなかないんじゃないでしょうか。
博士を目指すと決めた方は、時代の恩恵を十分に活かして、意地でも経済的支援を掴み取りましょう。
申請すること自体にはリスクを伴いませんから、しっかり準備をして積極的にトライしていきましょう。
申請にあたって絶対に押さえておきたい必勝ポイントをまとめたので、こちらも参考にしてください。
経済的な自立を達成しておくことで、今後研究を進めていくうえで少しでも不安を取り除くことができ、自身のメンタルケアにもつながります。
博士課程の金銭的リスクを解決して、僕と一緒にPh.D取得目指して頑張りましょう!
では。