こんにちは。ぱにです。

医学系の研究室で博士号取得を目指しています。
この記事では、申請書を書くことが苦手な方向けに、申請書を仕上げるうえで最低限押さえたいことを4つ紹介します。
かくいう僕も決して申請書を書くことは得意ではなく、いつも泣きながら研究計画書を書いています。
最難関である学振とは残念ながら縁がないとはいえ、次世代研究者や卓越大学院といった支援制度をパスしてきたからこそ、どうにか経済的に自立した博士課程を過ごすことができています。
人に講釈を垂れるには力不足なことは百も承知ですが、ボーダーギリギリにいる博士学生のレベルの目安にしていただけたらと思います。
情報を集める
申請書を書くにあたってまず最初に押さえるべきポイントは情報収集と情報の整理です。
当たり前のことかもしれませんが、例えば以下のことを十分に整理したうえで書き始めていると自信を持って言い切れますか?
この申請書はどんな人たちが審査するのか?
どんな人たちが合格してきたのか?
伝えるべきメッセージの優先順位はどうなっているか?
最初に自分なりに箇条書き程度で言語化し、書きながらでも振り返るように気をつけています。
質の良い情報を収集・整理するのに最も良い資料は、過去に合格の判をもらった申請書です。
支援制度や助成金制度が初年度ではない限り、申請組織に合格の判をもらった書類が存在しますので、可能な限り入手して精読することをおすすめします。
申請の要求に応える
みなさんは申請書の募集要項や申請書の様式をどのくらい注視できていますか?
募集要項の読み込みや理解度は、結果を大きく左右します。
たかが要項、されど要項。結局ここに書いてあることが出発点です。
そこにある言葉に一言一句無駄はありませんので、向こうの要求漏らすことなく読み取って申請書に反映させる必要があります。
すなわち、要項を細部まで丁寧に読み込んだ上で、要項より指示されている内容を、指示されている順番で書くことが求められている、ということです。

この当たり前のことがすごく難しいですよね。
さらに難しいのが、申請書を書き進めていくと、いつの間にか指示から逸れた記述が出来上がっている、ということが頻繁に起こることです。
書き始めるときだけ一生懸命に要項を読み込んで、その後筆が乗ってきて気がつくと脱線してる、なんてことはよくあります。
まずは、要項に繰り返し戻りながら書き進めていく習慣をつけるようにしましょう。
僕は、原稿・ラフな下書き・募集要項とをぐるぐる行き来して、3者のベクトルが常に合っているかを確認するイメージで進めています。
構成に面白さを求めない
情報の順序や段落のつながりが論理的かどうかを確認することも、当然ですが重要になってきます。
申請書を書く上で最も難しいポイントの一つに、審査側の書き手側とで前提知識に大きなギャップがあるということがあります。
言い方を選ばなければ、何も知らない人に向けて、こちらに研究を丁寧に解説し、理解させなくてはなりません。
そのため、「読みにくい」申請書は絶対にNGですよ、というのは以前記事に書きました。

さらに一歩進んで伝わる申請書を書くには、論理的で明快な構成を組むことが非常に重要になります。
使うロジックに変な小細工は全く必要ありません。みんなが知っているロジックを間違いなく使えばいいだけです。
たとえば、
結論ファーストになっているか?
話が飛んでいないか?
原因と結果を自然な順序でつなげているか?
具体と抽象の行き来はスムーズか?
ロジックは地図みたいなものなのかもしれません。工夫して迷路のような地図にする必要はないんですよね。目的地に向かってもらうには、シンプルな一本道が一番安心して来てもらえます。
面白さや意外性は、ロジックではなく内容で演出しましょう。
よくあるミスは、自分の研究室内では当たり前になっている前提や流れをそのまま使ってしまい、説明を省略してしまうことです。
本来であれば丁寧に言語化すべきロジックを、無意識のうちに見落としてしまっているのです。
だからこそ、「自分の説明は専門外の相手にも伝わるか?」「噛み砕いて言語化できているか?」を客観的にチェックする視点が欠かせません。

自分の中ではそのロジックは成立しているので気が付きにくいんです。。。
ドンピシャの図を準備する
申請書に使う図は、見やすさとわかりやすさに徹底的にこだわった図を自分で作るようにしています。
特に申請書の1ページ目の最上段にくる図は、審査員の目に最初に飛び込んで来るものだと思っているので、ここでどれだけ印象づけられるかが点数を大きく左右すると考えています。
申請書に使用する図を描くのに、図工の成績はまったく必要ありません。空間表現が上手いとかリアリティが高いとかはあくまで二の次です。
図を作るうえで僕が意識していることは二つです。
一つの図に対してメッセージはひとつ(1スライド・1メッセージの原則)
情報は漏れなくダブりなく(MECEの原則)

もはや「わかりやすいプレゼン資料の作り方」の二番煎じ。
普段スライドで使っている図を転用しようとすると、大抵メッセージに対して必要以上の情報が付加されてしまうイメージがあります。
ただでさえA4の紙の限られたスペースなのに、ぎゅっといろんな絵を入れて文字も小さくなってしまってよくわからない図になってしまった、なんてことのないように気をつけたいですね。
僕はパワポだけで納得のいく素材を作れないので、iPadを使って手書きで最低限の素材を描き、パワポで組み合わせて完成させるスタイルを取っています。
使っているソフトの紹介はまた記事にしたいと思います。
文章読まなくていいから図を見ろ!と自信を持って言えるよう、図にも時間をかけてこだわってみてください。

グレースケールで出力しても問題ないかの確認を忘れずに。
まとめ:最低限と銘打つだけあって難しいスキルは必要ない
ここまで僕が実際に申請書を書くうえで意識していることを4つ紹介してきました。
正直退屈だったのではないでしょうか?見る人が見れば基本中の基本だと思っています。
でもこのレベルさえクリアできれば、博士生活でお金に振り回されることはないですし、研究に集中する時間を確保できるはずです。
是非前向きに取り組んでいただけたらと思います。
では。